「健康食品」に対する認識と薬剤師の役割

 健康食品は、錠剤・カプセル状のサプリメントから、

飲料やお菓子、野菜などの

機能性表示食品まで多岐にわたり、

一般的に法令上一般食品として取り扱われるものと、

特定保健用食品等として取り扱われるものを

併せて認識されています。

現在、錠剤・カプセル状の

健康食品については、

製造者等に向けた自主点検ガイドラインなどが発行され、

安全性や有効性確保のため

自主的な取り組みが求められていますが、

過去に品質や安全性等に問題がある

商品が流通した事例もあり、

今後も

同様の事案が発生する可能性が指摘されています。

これをうけ、

独立行政法人国民生活センターは、

全国の消費者を対象に、

錠剤・カプセル状の健康食品の利用実態等に

関するアンケート調査および、

市販商品について品質に関する調査を行いました。

消費者へのアンケート調査(n=10,168)では、

直近1年以内で最も利用頻度の高い

錠剤・カプセル状の健康食品の使用目的は、

24.7%が栄養補給だった一方、

20.1%が病気の治療・緩和でした。

また、直近 1年以内で最も利用頻度の高い

錠剤・カプセル状の健康食品の

販売者名と商品名を自由記述で調査したところ、

8.4%が医薬品等(医薬品、医薬部外品)を

記載しており、

医薬品等と健康食品との区別が曖昧と考えられました。

市販商品の品質に関する調査では、

100銘柄中42銘柄が医薬品に定められた

規定時間内に崩壊せず、

機能性成分の量は、

50銘柄中2銘柄で含有量と表示量が大きく乖離していました。

 

 

健康食品による健康被害は、

2019年9月6日、

消費者庁より、健康食品「ケトジェンヌ」を

使用した消費者で下痢等の体調不良を生じた

事故情報が短期間に急増していると

情報提供・注意喚起されたところです。

また、

2019年8月20日、

福岡県保健医療介護部薬務課より、

海外からインターネットで入手した

ダイエット用製品

(シブトラミン、ヒドロクロロチアジド、

アミロライド、フロセミド、ビサコジル、

フルオキセチン、クロルフェニラミンを含有)

による健康被害が疑われる事例が

情報提供されています。

 

消費者庁では、

健康食品の適切な利用を促進する観点から、

「健康食品Q&A」を公表しており、

以下のような健康食品を

利用する際の注意すべきポイントが

掲載されています。

健康維持の基本は栄養バランスの取れた食事、

適度な運動、十分な休養であり、

健康食品は補助的に利用すべきものであ

健康食品はあくまでも食品であり、

医薬品のように症状の軽減や病気を治す効果は期待できない。

健康食品の宣伝や広告の中には、

誇大表示や契約条件が不明瞭なものがある、注意が必要である。

また、

国立健康・栄養研究所の

「健康食品」の安全性・有効性情報には、

健康被害の発生状況、

医薬品との相互作用等の情報が記載されており、

薬事情報センターのホームページでも

検索方法を紹介しています。

薬剤師は、

健康食品による健康被害を未然に防止するために、

患者の健康食品の使用状況を把握し、

医薬品との相互作用の有無を確認するとともに、

患者への健康食品に対する正しい認識や、

健康被害の発生状況等の情報提供においても、

重要な役割を担っていると考えられます。