木室ミヱ子の漢方薬を服用された方がライター養成で漢方の記事をお送りくださいました。①

①自分で病気をはねのける! 漢方の底力

かつて、

宣伝会議主催の編集者・ライター養成講座に通ったことがありました。

その時の卒業制作として書いたインタビュー記事を

noteでも投稿しようと思います。

(卒業制作用なので書き方がちょっとお堅めです!)

前職で、

「何か疲れが抜けないな」

「電車に酔いやすいな」と

小さな不調が出始めた時期がありました。

そこからどんどん免疫力も落ち、

仕事にならないレベルまで来て、

むぅ…と困り果てていた時に、

衝撃を受けた漢方との出会いを記したものです。

美容・健康関連は本当にセンシティブですが、

1人でも困っている方のヒントになったら、

という思いで書いています。

※全ての情報は専門医療機関のインタビューを元にしていますが、

飽くまで個人の体験ですので、

症状を自己判断されませんようご注意ください。

また、

素人の私に分かりやすいように話してもらったため、

簡素化されている説明もあります。

自然治癒力を取り戻す バランスを整えてあらゆる不調にアプローチ

漢方にどのようなイメージを持っているでしょうか。

占いめいたもの?即効性がない?まずくて飲みにくい?

私自身、

なかなか原因が突き止められなかった日々の

不調に悩まされていた折に、

漢方を服用したところ、

効果と即効性にただただ感動しました。

知られているようで 

まだまだ認知度の低い漢方は、

実は非常に高いポテンシャルを持っていると感じます。

「私の治し方はね、自分で病気をはねのけるの。

胃腸が弱かったら胃腸を強くして、

食べたものをしっかり消化吸収して、

自分で栄養を供給できる、

自立できる体作りをしながら立て直す。

弱体化しちゃった臓器を助けながら患部を改善させるんです」

上記は、

福岡県は博多駅前に店を構える、

「オータニ漢方薬局」

代表取締役の木室ミヱ子(きむろみえこ)氏の言葉。

平成5年に開局し、

日本全国にとどまらず海外からも寄せられる彼女への感謝の声は数え切れません。


(オータニ漢方薬局 代表取締役 木室ミヱ子氏)

社会人3年目、

私は毎日つきまとう異常なだるさと吐き気に苦しみ、

病院をはしごしていました。

検査しても異常なし、

良いと言われるものはいくつも試したものの、

全く改善が見られず閉口していた

ある日、

診療内科で「自律神経失調症」と診断され、

抗鬱剤を処方されました。

(実は小学生の時も一度この診断をされています)

服用後すぐ不調は改善されたように見えたのですが、

1日寝ると向こう3日は全く眠くならないという、

霊長類ヒト科らしからぬスペックになってしまいました。

そして、

薬を止めるとまた症状が戻ってしまう。

「根本解決できる治療法はないのだろうか」

と探し求め、出会ったのが漢方でした。

オータニ漢方薬局では、

舌の状態・顔・全身が分かる写真と電話での問診で、

患者の体質と不調の原因を探っていきます。

電話で処方を決めると、薬は自宅まで郵送してくれます。

全ての不調は、

「必ずどこかの内臓が弱体化していることが原因」

と考える医学が漢方です。

身体を冷やし過ぎず温め過ぎず、

潤しすぎず乾かしすぎず、

真ん中を取る。

プラスマイナス0の状態が一番健康な状態と捉えます。

「あなた、胃腸が弱いのね。その不調は全部胃腸のせいですよ」

初めて電話で日々の苦しい症状を訴えると、

木室氏はおそらく電話越しに私が送った写真を眺めながら、

すぐにこう指摘しました。

 

自律神経失調症は

交感神経と副交感神経のバランスが崩れている状態なので、

神経系に異常があると思い込んでいた私は、

この言葉をすぐに理解することができませんでした。

 

他の病院では全く聞かれなかった、

かつ自分でも気に留めていなかった小さな不調も

この電話で全て言い当てられました。

ストレスなど外的要因で胃腸が弱ると、

まず肺が熱を持つ。

漢方の世界では「熱は気を食う」と言い、

このせいで異常なだるさを引き起こすようです

(「気」とは抵抗力、免疫力、生命力を意味します)。

また

それにつられて肝臓も弱体化すると、

充分な血液が作られず体中に循環できない。

私のこのような症状や体質に合わせて

処方してもらった漢方を服用すると、

2包目で明らかに体が軽くなるのを感じました。

1週間経つ頃には一気にむくみが取れ、

疲れが嘘のようになくなりました。

(こう書くと違法なクスリみたいに聞こえますけどね。笑)

弱った胃腸に栄養を与え、

肺の熱が取れればだるさが消え、

肝臓も強化されて血を作れるようになると、

血液が循環されて手足の冷えも改善される。

濡れたタオルは冷たく、

乾燥したタオルは温かいように、

余分な水分を体の外に出すというのも冷え性改善になる、

という理論らしいです。

実際は1週間ほど下痢が続き、

余分な水分が抜けたようです。

(お腹が痛くなるような下痢ではなく、出してみたら下ってた、という感覚)

長いこと原因不明でぴったり合う対策もなかった中、

「漢方の世界ではよくある症状ですよ」の一言で救われました。

 

1972年に日本で最初の総合的な研究機関として設立された

「漢方医学北里大学東洋医学総合研究所、

漢方鍼灸治療センター」所長である

小田口浩(おだぐちひろし)氏は漢方についてこう説明しています。

「医療の分野においては、

科学技術をベースにした現代医学の進歩により、

従来治療手段のなかった疾病を治療できる様になった一方、

医療の過度の専門化・細分化のため、

患者さまを総合的に診療することが困難になってきている。

このような状況下、

患者さまの心身を一体的・総合的に

診療する漢方医療への期待は近年益々大きくなっている」

病院に行くほどではないけれど、

何だか毎日不調がある。

健康診断では引っかかっていないけれど、

何だか違和感がある。

毎日我慢しながら生きている人にとって、

数値以外の所から原因を発見してくれるというのは、

精神的に非常に身軽になるものです。

漢方の定義

ちょっとここで小難しい話を…。

「漢方」と一口に言っても、

元は中国伝統医学の「中医学」であり、

日本独自に発展したものを「日本漢方」と呼んでいます。

それぞれの内容についての認識や理解は諸説ありますが、

簡単に触れると以下のように定義されています。

日本漢方:症状に対して処方するもの。

生薬から成分を抽出して

顆粒や錠剤に製剤化したのもので、

既製品となっている。

 

中医学:総合的な理論体系に基づいて症状や体質を分析し処方するもの。生薬の種類や量を個人の体質や季節に合わせてカスタマイズする。その分保険が効かず、自由診療扱いとなります。

オータニ漢方薬局は、店名に「漢方」の名は付いているものの、中医学の考え方に沿って処方しています。自由診療のため、料金は市販で買えるものに比べると少しお高めの1日分(3包)600円。どんな病気・処方であっても一律この価格です。

日本にある漢方薬局は、先述のどちらかの流派で処方しているようですが、いずれにしても診断・アプローチ方法は医者に拠る所が大きいそう。

診断中に「気」とか「陰陽五行説」などという言葉が出てくるため、どこか宗教的なものをイメージする人もいるかもしれませんが、中医学の理論体系とは、中国の何千年に及ぶ経験医学であり、中医学のバイブルとも言える「醫方集解(いほうしゅうかい)」「傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)」といった文献に非常に論理的に纏められています。

「大変長い歴史の積み重ねでしたためた方法っていうのは、歴代の王に付いていた医師がずっと書き連ねてきたものです。中国は革命で国が倒れて焚書(ふんしょ)が行われて、あらゆる分野の書物が書き換えられるけど、医学書は書き換えてしまったら死刑ものですよ。もし、ある処方によって、王様が治ってもないのに治ったと書いて、それを次の王様に(誤って)処方したら死んでしまう。だから医学書に関しては、正当な事しか書き残されてないんですよ。何千年もかかった人体実験です」

北里大学東洋医学総合研究所の、精神神経学会専門医であり、日本漢方および中医学にも精通している遠藤大輔(えんどうだいすけ)氏も、経験則を数値化してデータに落とし込む難しさを理解しています。

「西洋医学の方法論というのは、手術した場合としなかった場合、それぞれどのような結果が見受けられたか等、比較試験があってこっちの方がいいっていうものが標準治療になるわけです」

同じ癌だったとしても、眩暈がする人と胃が悪い人とで処方が変わる可能性があり、西洋医学のように体質関係なく同じ薬を投与した際に効いた・効かない、の判断ができないのです。

しかし、こうも続けています。

「アトピーの子で、ずっとステロイド塗ってたのに漢方薬飲んだら塗る量がどんどん減ってオフになったとか、不眠の人って西洋薬止めると眠れなくなっちゃう人多いんですけど、結果服用しなくても大丈夫になったとか、これはおもしろいな、と」

東京の西八王子にある「イセヤ漢方薬局(中医学)」店主であり、武蔵野東医学研究会副会長の金子勲(かねこいさお)氏も、そのような漢方の可能性に期待を持っています。

「数値的には何も問題ないけど、本人からしたら調子が悪くてとても健康だと思えない。こういう時はどうしたらいいの?ってなった時に(漢方という)違うモノサシを持ってきたら、対策が見つかることもあるんじゃないかな、と思います」

 

 

ライター養成講座 総合コース  木室ミエコに漢方取材です。