日本人の被曝(ひばく)量が世界で最も高い水準にある。(CT検査)
2020年9月21日(月)
日本経済新聞の記事です
コンピューター断層撮影装置(CT)検査
など放射線を使った医療行為による
日本人の被曝(ひばく)量が
世界で最も高い水準にある。
特に小児は成人よりも放射線の影響を数倍受けやすく、
がんや発育上のリスクが高い。
医療被曝を減らすため、
放射線量を抑えた検査法や超音波を使う
エコー検査の活用など
取り組みが広がっている。
低線量・エコー検査の普及 道半ば
(中略)
エコー検査は放射線を使わず、医療被曝は生じない。
自治医科大さいたま医療センターの市橋光教授が活用に力を入れている。
環境省によると、
日本の年間の医療被曝量は3.87ミリシーベルトで、
世界平均の0.6ミリシーベルトを大きく上回る。
CTが普及し、高度な医療が提供されていることを反映している面もある。
日本小児放射線学会などが作成した
「小児CTガイドライン」によると、
小児は放射線に対する感受性が成人の数倍高い。
体格も小さく、成人と同様の撮影条件では
臓器当たりの被曝量が2~5倍になる。
世界保健機関(WHO)も被爆時の年齢の低いほど、
生涯のがん発生リスクが増加
するとして注意を呼び掛けている。
小児の医療被曝防げ
エコー検査では検査中に泣き出したり、
暴れたりしがちな小児でも検査しやすい。
CT検査の場合、鎮静薬を投与して動かないようにすることもあるが、
エコー検査なら不要だ。
市橋教授は「被曝を避けるために、
どのような疾患でもCT検査より先に、まずエコー検査を
『第一の選択肢とすべきだ』と強調する。
がんや発育上のリスク高く
(中略)
エコー検査にはCTやレントゲン検査とは異なる、
独特な技術の習得が必要だ。
「激しい腹痛」を訴える患者に急性虫垂炎(盲腸)の
疑いでエコー検査をする場合、虫垂を的確に探し、
画面に映し出すには経験と修練が必要だ。
画像を見て正常な状態か評価する知識も求められる。
市橋教授は(中略)「開業医を含め、
すべての小児科医が習得するのが望ましい」と話している。
(中略)CT検査は線量を多くするほど詳細な画像を得られるが、
「検査を行うメリットが被曝のリスクを上回ることが前提」と強調する。
東京大病院では先天性心疾患などの診断のため
心臓CT検査を行う際、体積から小児検査に必要な線量を計算し、
低線量の目安とされる1~3ミリシーベルトを
さらに下回る0.3ミリシーベルトで検査する。
(中略)小児の心臓CT検査では施設によって
放射線量に最大70倍以上の格差があるといい
「線量を正確に管理できていない病院が多い」と指摘する。
(中略)
「消費の被曝低減にはまず、
医療従事者の意識改革が必要」